ベータグルカン健康食品の栄枯盛衰

ベータグルカン(βグルカン)が有効成分であるサプリメント・健康食品をがん治療に活用する傾向は世界中で顕著だ。米国では富裕層ほどにサプリメントの活用が盛んなのだ。

アジアでは、伝承キノコへの信心が深い歴史的な背景と違法な宣伝が多い文化的な土壌から、まだまだキノコを原料とするサプリメント・健康食品が蔓延している。長い年月で浸透した歴史と実績のあるキノコと、まだ歴史の浅かったザイモサン、パン酵母ベータグルカンがその優位性を証明するには時間が必要だった。

しかし、1960~1970年代のベータグルカン(βグルカン)の特定によって、キノコもザイモサン、パン酵母ベータグルカンも有効成分が同様にベータグルカンだと解明されたことは大きな転機となった。

有効成分ベータグルカンの含有量が計量されれば、パン酵母から抽出したベータグルカンの含有量の多さは圧倒的に多いことから脚光を浴びたのだ。キノコ類では数パーセントしか含まれないベータグルカン(βグルカン)が、パン酵母から抽出した製品では、当時でも30~50%を軽く超える高い含有量だったことだ。数十倍の含有量の差は、まさに圧倒的な効能の差を説明するに十分だった。

そして、さらに酵母ベータグルカンの優位性が明白になったのが1990年代の技術革新だった。成分の特定で効能の起源と安全性の理解が深まったパン酵母抽出のベータグルカンは、Baker's Yeast (=パン酵母ベータグルカン)として販売量が急拡大した。企業や研究所による製造・研究の新規参入も増え、さらに精製技術や分析技術を向上させ、試験治療を増やす好循環となった。

結果として、ベータグルカンの含有量と純度は飛躍的に向上し、1990年代後半にはパン酵母ベータグルカンのサプリメントのベータグルカン含有率は60~80%にまで精製度が高まった。一方のキノコは品種改良や抽出を工夫しても、ハナビラタケ等の30~40%のベータグルカン含有率に留まっている。

このように1990年代以降はベータグルカンの含有量が明示されたパン酵母由来のベータグルカンが、ベータグルカンの含有量が少ないキノコサプリメントを圧倒してしまった。その後のキノコサプリメントは、違法性のある特殊な宣伝に活路を求めたために、度々に刑事事件の対象となる違法商法を生み出している。

<がんに効くブームのキノコ変遷>
1980年代:アガリクス、メシマコブ
1990年代:カバノアナタケ(チャーガ)、冬虫夏草
2000年代:ハナビラタケ、霊芝

比較をすれば明らかにパン酵母由来のベータグルカンが優れているが、粗悪品を高値で売る違法な健康食品販売は、ビジネスモデルとも称される利益を生むことも判った。そのため今後もキノコの品種を変えるだけで、悪辣な宣伝広告を駆使して売り逃げする商法は減らない可能性が高い。

ベータグルカン(βグルカン)を求める際には、患者、家族が本質を理解して、流されない知識で自己防衛する必要があるのだ。

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